2014年06月02日

週報No.45 5月23日号

■会長の時間
井上 勝己会長
司会進行 千葉 康博幹事
歌  唱
 君が代、夏は来ぬ
髙森 郁子ソングリーダー
卓  話  者 公益社団法人国民文化研究会元参与
折田 豊生氏
市  域R.C. 3名
米  山  奨  学  生 葉(よう りょう)さん

会長の時間      井上 勝己会長
皆様 こんにちは。
私の会長の年度も、余すところ、例会が、5月が残り1回、6月が4回となりました。5月最終の週の例会は、私、海外でございまして、大橋副会長に例会の式次第をお願いしております。従いまして、私が直接担当します例会は、5月は実質、今日で終わりとなります。思いますに、近頃は「次年度へのバトンタッチを日々心待ちにしている」というのが、素直な心境のようでございます。
それでは、ご来訪者のご紹介を致します。
本日の卓話者でございます、公益社団法人国民文化研究会 元参与 折田豊生(とよお)様でございます。
このたびは大変ご多用の中を、熊本クラブの卓話を、快くお引き受けを頂き、誠にありがとうございます。
本日のお話、大変楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。
ところで、折田様は、私よりも1歳年上でございまして、私、以前から大変親しいお付き合いをさせていただいております。
今般は、木下 修様のお母様が、お亡くなりになられたということを、2月に折田様にお会いする機会がございましたときに、お話し致しましたところ、私にいろいろと、東様のお父様のお話を聞かせていただきました。
木下 東様のお父上、松本唯一先生につきましては、昨年12月の初めに、熊本クラブの例会で一度お話をいただいているのですが、
一つに、このような折田様とのお話の経緯がございましたこと、
二つに、昨年12月20日の熊本クラブの「年忘れ家族会」での、東様からの私へのお礼のお声かけが忘れられないこと、
三つに、折田様は、松本唯一先生のある意味では、いわゆる門下生、言い換えれば 大事な、大事な教え子のお一人でございまして、唯一先生のお心を最も良くご存知の方のお一人であること、
四つに、国民文化研究会の研修会の中で、松本唯一先生から、そのお心を、しっかりと、直にお伝えをいただいている方であること、
五つに、亡き東様のご冥福をお祈りするという意味を込め、
私の方から「5月23日の例会卓話の時間に、河村幹雄先生との間柄を交えて松本唯一先生のお話をしてください」とお願いをした次第でございます。
12月とテーマがダブるかもしれませんが、そういう思いがあるというところを、皆様方に、この場をお借りし、お伝えしておきたいと思います。
続きまして、ご来訪いただいておりますロータリアンのご紹介を致します。
本日は、市域内から3名のロータリアンのご来訪をいただいております。
熊本江南ロータリークラブの森 正貴様、佐土原 護様、山室昌敬様です。熊本江南クラブのお若い方、3名でございます。
ようこそいらっしゃいました。
今日はまた、米山奨学生 葉 さんにも来ていただいております。ありがとうございます。来月もまた楽しみにしています。よろしくお願いします。
皆様、どうぞ、ごゆっくりとお過ごしいただければと存じます。
本日のご来訪者は以上でございます。
それでは、会長の時間でございます。一言ご挨拶を申し上げます。
先週、土曜日・日曜日は好天に恵まれ、本当に良き、お伊勢参りとなりました。お世話いただきました当クラブ会員であります、藤崎八旛宮の岩下宮司様、そしてわざわざご同行を頂きました、同お宮の権宮司でございます、岩下通弘様には、改めてこの場をお借りし、厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
新入会員の方で、神宮に行きたいと希望されていたのですが、たまたま日程が合わずご同行が叶わなかった池上会員、添島会員、そして、参加予定でございましたが中途キャンセルとなられました目黒会員にはお土産をお持ちしました。神宮の饗膳でございます。お受け取りいただければと存じます。
また、宿泊先等このたびの小旅行の企画運営を、お世話をいただきましたJR九州の廣川様には細かいところまでお心配りをいただき、同行者全員、大変、感謝をしております。
本当にありがとうございました。
この場をお借りし、ご報告を兼ねて御礼を申し上げます。
今日は、他にも式次第の項目があるということですので、一つ目だけで会長挨拶を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

新入会員紹介
(推薦者 福田  稠会員)

週報No.45 5月23日号

氏  名 岡  成也
生  年 昭和34年
勤務先 熊本YMCA
役職名 総主事
趣  味 スポーツ鑑賞(体操競技)
学  歴 昭和52年3月 東海大学付属第二高校卒
昭和57年3月 東海大学体育学部社会体育学科卒

入会2ヶ月以内会員紹介千葉 康博幹事
秋岡 廣宣(熊本放送)

■出席報告
出席委員会


米山奨学金支給(5月分)      井上 勝己会長

週報No.45 5月23日号

米山奨学生挨拶葉   さん

■幹事報告
千葉 康博幹事

・ロータリー半期請求システムについてのアンケート調査
◎例会変更
・熊本江南R.C. 6月11日(水)の例会は、歳祝いの会の為、6月11日(水)18:30~マリーグレイスにて
※サイン受付は18:00~18:30迄、ホテルニューオータニ熊本1階ロビーにて
6月25日(水)の例会は、クラブ定款第6条第1節に基づき例会取り止め
※サイン受付は12:00~12:30迄、ホテルニューオータニ熊本1階ロビーにて
・熊本’05福祉R.C. 6月10日(火)の例会は、県民総合運動公園清掃の為、6月10日(火)6:30~「県総合運動公園駐車場」集合
6月17日(火)の例会は、「歳のお祝い・ご家族慰労会」の為、6月21日(土)18:00~「火の国ハイツ」にて
6月24日(火)の例会は、クラブ定款第6条第1節に基づき取り止め
・熊本水前寺公園R.C. 6月18日(水)の例会は、最終例会・懇親会の為、6月18日(水)18:30~熊本ホテルキャッスルにて
6月25日(水)の例会は、休会
・熊本平成R.C. 6月25日(水)の例会は、夜例会へ変更の為、6月25日(水)19:00~ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイにて
※サインメーキャップは12:00~12:30迄ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ1階ロビーにて
《お知らせ》熊本平成ロータリークラブ事務局事務所は6/19(木)~6/24(火)まで研修旅行の為お休みを頂きます。ご迷惑をお掛け致しますが急用の場合は幹事増田迄ご連絡下さいます様、宜しくお願い致します。
幹事:増田博文 090-8913-4257
・熊本北R.C. 6月26日(木)の例会は、慶祝家族会の為、6月26日(木)18:30~料亭「新茶家」にて

■スマイルボックス
中島 敬髙委員

井上 勝己、大橋 善治、千葉 康博、中村 展教各会員  本日の卓話者として折田豊生様にご来訪いただきましたことに感謝してスマイルいたします。松本唯一先生についてのお話を楽しみにしております。また、米山奨学生の葉 さんにもお越しいただいています。ゆっくりとしていかれて下さい。最後になりましたが、熊本YMCAの岡 成也さんの入会を歓迎いたします。これから、ロータリーの仲間としてよろしくお願いいたします。
井上 勝己、長野 和夫、樋口 雄三、片岡 朋章、千葉 康博各会員  先週末に、JR九州の廣川会員のお世話で、藤崎宮の岩下権宮司にご説明をいただいて伊勢の神宮に正式参拝してまいりました。詳しく話すと参加できなかった会員の皆様に申し訳ありませんので、「非常に良かった」とだけご報告申し上げます。また、岩下権宮司と廣川会員のお二人に大変お世話になりました。この場を借りて御礼を申し上げます。
岡  成也会員  伝統ある熊本ロータリークラブに入会でき、ありがとうございます。よろしくお願いします。
熊本江南R.C. 森  正貴、佐土原 護、山室 昌敬各会員  熊本江南ロータリーよりメイクアップさせていただきます、森、佐土原、山室です。今後ともよろしくお願いします。
吉村圭四郎会員  国民文化研究会の同志、折田豊生氏の来訪を歓迎します。
副島 秀久会員  小堀さんから頂いた熊響のコンサートへ久し振りに行きました。遠藤真理の迫力のあるチェロを楽しむことができました。新世界も、感動もので、昔を想い出しながら聴きました。
中川 成洋会員  今日は年一回のボーナス支給日ですのでスマイルします。といっても私の口座を素通りして妻のところに行くだけです。皆様、引き続きスマイルへのご協力、お願い致します。
福田  稠会員  YMCAの岡 成也総主事の入会を心から歓迎しスマイルします。
大谷  均、三浦  勲、柳邉 俊雄各会員  明日、明後日(5/24、25)の2日間、熊本火の国ローターアクトクラブのメンバーが韓国釜山に研修旅行を実施します。熊本クラブのご支援をいただいての旅行で、韓国のローターアクトクラブとの交流もあり、メンバーの今後の更なる成長を期待しています。最近、事故が多発してます隣の国ですので、無事の2日間を祈念してスマイルします。
坂本 哲也会員  このたび、熊本を離れ、ニューヨークに赴任することになりました。熊本ロータリークラブでは、推薦人となって下さった副島様、目黒前会長、井上会長をはじめとして、諸先輩方に大変お世話になりました。また、当ロータリークラブを通じて、多くの方々と知り合うことができ、熊本での生活が大変充実したものになりました。皆様に厚く御礼申し上げます。本来ならば退会のご挨拶に伺うべきところですが、事務引き継ぎ等があり書面でのご挨拶となることをお許しください。熊本ロータリークラブの益々のご発展と皆様のご健勝を祈念し、心からの感謝の気持ちを込めて、スマイル致します。有難うございました。

■本日の卓話
卓話者紹介木下  修例会プログラム委員長

松本唯一先生の思ひ出
―河村幹雄先生との御関係を中心に―」
公益社団法人国民文化研究会元参与
折田 豊生氏


週報No.45 5月23日号

世界的な地質学者として高名な松本唯一先生は、桁外れの秀才であり、しかも偉大な人格者であられた。私がその謦咳に接し得たのは、先生が91歳でお亡くなりになられるまでの晩年の10年間に過ぎなかつたが、先生はなほ矍鑠としてエネルギッシュであられ、その飽くなき探求者、求道者としてのお姿に、筆舌に尽くし難い多くのものを学ばせて頂いた。
先生は栃木県の御出身で、第一高等学校、東京帝国大学理科大学を首席で通され、ハーバード大学への留学を終へられた後、福岡県の明治専門学校、九州帝国大学を経て、熊本工業専門学校、熊本大学の教授として教鞭を執られ、熊本大学初代理学部長をお務めになられた。
先生は、当然、東京帝国大学にお残りになるべきところを、様々な事情で九州においでになられたのだが、私共にとつては、それが、先生の御教示を仰ぐ機会を得ることとなり、願つてもない幸運に恵まれることとなつた。
私は熊本大学において信和会と云ふ歴史文化を学ぶサークルに入つてゐた。松本先生の熊本大学時代の教へ子で中学校の理科の教師をしてをられた松浦良雄先生に御縁があり、松浦先生の御紹介でサークルのメンバーと誘ひ合つて松本先生を屡お訪ねすることとなつたのである。
先生のお宅に伺つたとき、先づ驚いたのは、先生と奥様が玄関で正座され、深々とお辞儀をしてお迎へ下さつたことである。お暇するときも同様で、私共学生風情に対して丁重に御対応下さつたのである。それはまことに恐縮の極みだつたが、そのお姿は不思議と仰々しくなく、まことに自然だつた。形式化された作法の所作が心の籠り具合によつて如何に美しく昇華されるものであるかを、私共は初対面の場から学ばせて頂くこととなつた。
応接間に通されて伺ふ先生のお話はいつも多岐に亘つて緻密でダイナミックであり、いつも5~6時間があつといふ間に過ぎた。夜中の12時を回つたのに気付いて、もうお暇しなければと申し上げると、奥様が「うちはいつも、12時がお茶の時間で3時頃寝るんですよ」と仰つて下さり、それに甘えて、辞去する時刻はいつも1時を過ぎた。
先生は7人兄弟の4男、6番目のお子様としてお生まれになられた。先生のお父様は実家を継がせるお積りであられ、先生は栃木中学を出られた後、地元の学校で代用教員をしてをられたのであるが、東京帝大に行つてをられた5歳年上の兄、彦七郎さんが帰省された折、「こいつも学問ができるから、是非、東京へ出して貰ひたい」とお父様を説得して下さり、それで俄かに一高を受験することになつたとのことだつた。
「受験勉強の十分な時間がなく、一高は尻尾で受かりました」と先生は言つてをられたが、その後は、東京帝大理科大を御卒業になられるまで首席で通され、恩賜の銀時計を受けられたのである。
一高時代は、芥川龍之介、山本有三、菊池寛、久米正雄、倉田百三、矢内原忠雄等々、錚々たる御学友があり、先生がそれらの人々を君付で呼ばれるのをお聞きしてゐて、遠い書物の世界の人々が俄然目前の人になつた思ひがしたものだつた。特に当時、折々著書に目を通していゐた倉田百三さんについては、先生が「倉田君は学生時代から一角の人物だと思つて密かに尊敬してゐました」と仰られたこともあり、その後、深い親近感を持つて読むやうになつた。
松本先生は東京帝大に進まれるに当たつて地質学を専攻されるが、それは、兄彦七郎さんが「これは偉い男なんだぞ」と言つて御学友の河村幹雄先生に引き合はせて下さつたことによる。
河村幹雄先生は、北海道出身で後に東京に転居され、海軍兵学校を2回受験されたが体格検査で不合格となり、やむなく一高に入られ東京帝大理科大地質学科に進まれたのである。河村先生もまた東京帝大の特待生で恩賜の銀時計を受けられた桁外れの秀才であり、教師の中にも「さん」付けで呼ぶ人がをられたほどの並外れた人格者であられたのである。
松本先生は、忽ち河村先生に惹かれ、生涯の師として敬仰されるのであるが、松本先生と河村先生とはまさによく似た稀有の個性が互ひに引き合ふやうにして出会はれたように思はれる。
松本先生は「河村先生がお書きになられた地質図はこの上もなく美しい。それは少しも誤魔化しがないからです」と幾度も仰つてをられた。松本先生の丹念な地質踏査は夙に有名であるが、それはまさに河村先生の厳しい学究姿勢に倣つたものと拝察される。
松本先生も河村先生も専攻分野のトップレベルにあつて、それのみに専念してをられたかに思はれがちであるが、それは浅見と言はなければならない。このお二人に限らず、明治の学徒は何れもスペシャリストと云ふよりはゼネラリストであつたと云ふべきであらう。
例へば、河村先生が紹介される場合は、地質学者・教育学者・哲学者・宗教家とある。その何れもが相応のレベルの実績を遺されたと云ふことなのであり、御専攻の地質学の外に、国家・国防・外交問題、学校の在り方に係る教育問題、欧米思想批判、人としての在り方に対する考察、キリストと親鸞を中心とした宗教研究等々、今それらの広範に亘る遺文を拝読しても悉く示唆に富み、少しも色褪せるところがない。
松本先生もまた、河村先生に劣らず幅広い御活動をなさつた。御専攻の地質学について世界的に名声を博する業績を遺されるとともに亡くなられる直前まで学会の重鎮として精力的に関与されたばかりでなく、敬愛する軍神松尾敬宇中佐の顕彰、井上梧陰(毅)、元田東野(永孚)等、熊本の先達の偉業を啓発するための肥後道統顕彰会、教育を憂うる千人委員会の運営など、戦後社会の思潮是正のために、正に八面六臂の御活躍をなされたのである。
それらのすべての御活動は、普段の飽くなき学問の収斂するところであり、須らく、古今東西の書物を渉猟された独学勉励は元より、応時に実践された古典輪読等の共同研究と切磋琢磨、著述や学会における客観化等の諸事業に裏打ちされたものである。驚嘆すべき記憶力の持ち主であられた先生のお話は常に四方八方に展開し、多様多面的で伸びやかだつた。
松本先生と河村先生には多くの共通点がある。一高・東京帝大で銀時計を受けられた桁外れの秀才であり地質学を専攻されたことは既に述べたが、その他にも、お若い頃に海軍を志願されたこと、歴史文化に精通され熱烈な愛国者であられたこと、語学が達者であられたこと、門下生が多数ゐらしやること、そして御臨終の御様子が印象的であられたことは実によく類似してゐる。
日露戦争が勃発したのは松本先生が12歳の時で、先生は少年ながら当時の新聞を日々熟読されたとのことで、悉くスクラップブックにして残してをられた。当時、海軍の広瀬武夫少佐(戦死後中佐)は青少年の憧れの的であり、先生も「少佐の玄関番になりたい」と海軍を熱望してをられたさうである。先生が後に河村先生から頂かれた書物の余白に「余は海軍提督たらん」と書いてをられたことを回想され、「河村先生も余程海軍がお好きであられたんですね」と笑ひながら話してをられた。しかしながら、松本先生は極度の近眼であられたため、また河村先生は体格が基準を満たさなかつたため、それぞれ海軍兵学校を断念せざるを得なかつたのである。
松本先生も河村先生も熱烈な愛国者であられたが、それは殊に欧米社会の学術思想との比較における日本文化の評価に根差したものと思はれる。この時代の人々に共通する歴史文化への造詣の深さは、普段の生活における短歌詠草など、伝統的学問の実践の内に醸成されたものであり、何より敬愛の念を以て歴史文化を学ばれた結果でもあらう。このお二人もまた明治から昭和にかけての激動期に心を煩はされること甚だしいものがあつたであらうことは容易に想像できるが、その波乱の時代においても祖国の歴史文化と国体に対する信条は微塵も揺らぐことなく、終生、混迷化していく世相に警鐘を鳴らし続けられたのである。
松本先生も(奥様も)河村先生も数多くの短歌を遺してをられるが、無数の人々が古代より親しみ勤しんできた短歌は我が国の無尽蔵の宝であり、人々はこれを敷島の道と呼び、其々に自己修練の手段として尊んできたのである。従つて、短歌の修練はそのまま歴史文化への推参を促すものであり、天皇も庶民も斉しくこの伝統的詩歌を通じて感応相称の世界を共有してきたのである。それが我が国の本質的な姿であり、独自の文化を形成してきた源とも言ふべきであらう。
河村先生の語学力が群を抜いてをられたことについては様々なエピソードがある。その一つに一高時代、モーリスと云ふ米国人の教師がゐて、同じ英語教師であつた夏目漱石も手を焼くほどその英語は難解だつたやうであるが、河村先生だけはこのモーリスと自由に会話をしてをられたのださうである。斯様に驚くべき英語の達人であられたにも拘はらず、河村先生が最も力を注ぐべきであると強調されたのは国語教育だつた。
松本先生も語学力が抜群であられ、あるとき、教会の外国人牧師と論争になり、最初は日本語だったが議論が白熱していくに連れ何時しか英語に変はつたと云ふ話がある。私共がお伺ひした折にも、ある時は学生時代のリーダーの教科書の名文(英語)を、ある時はゲーテの詩(独語)を、またある時はロマン・ロランの詩(仏語)を恍惚とした面持ちで暗誦して下さつたものである。地質学はラテン語を使ふことが多く、それをベースにお二人とも欧州の数ヶ国語を自在に駆使してをられたばかりでなく、西欧の歴史文化にも幅広く精通してをられたものと拝察される。
私共が学生時代に愛読した本に河村先生の「名も無き民のこゝろ」がある。これは昭和9年に岩波書店から出版されたものが昭和44年に内外情勢調査会から再版されたものである。ほかにも同様に学校において、また私的に設けられた斯道塾における教へ子の方々がその御著書を再版され、或ひはまた先生の御足跡を記され、語り継がれ、その学術思想の流布に心を砕いてをられる。
松本先生も、数々の追憶の言葉に伺はれるやうに、その御生涯のひとときも安易に過ごされることなく、夥しい数の教へ子達の教育教化に心血を注がれたのである。
河村先生は、お亡くなりになる直前、ベッドの上で正座をされ、訪れた人々に慇懃にお別れの言葉を述べられ、国家の後事を託して、その後、僅か小半時も経たぬまに永眠されたと云ふ。
松本先生の御最期については、御長男幡男様が御葬儀の遺族挨拶で述べられたやうに、御臨終のひと月半余り前、済生会病院のベッドに正座して大楠公湊川討死の場面を朗誦された後、東方を遙拝され、国歌君が代を二度奉唱して眠りに就かれたまま最期のときを迎へるに至られたと云ふ。松本先生は、河村先生の御最期を語られたとき、「私もあのやうにありたい」と漏らされたのであるが、その御生涯の最後の最後に至るまで、松本先生は河村先生と共にあられたやうであつた。
このお二人の青春時代に見られるやうに、明治と云ふ時代は、純朴にしてエネルギッシュで国家社会のために精魂を傾けた有為の青年を数多く輩出した。
今、我が国は、大きな国難のときにあり、重大な岐路を迎へてゐるが、現在に比して遥かに大きな動乱と多くの難題に苛まれながらも、それらを見事に克服し世界を感嘆せしめた数々の栄光に溢れてゐる明治と云ふ時代を、私達は今こそ、虚心に振り返る必要があるであらうと思はれてならない。


次回の卓話
5月30日 「特別養子縁組」福田  稠会員
6月6日 「企業の危機管理~強まる経営陣の役割~」
      産経新聞社取締役西部代表 鶴田東洋彦氏
6月13日 「台湾の『日本精神』から見た日台関係」
      台北駐福岡経済文化事處處長(総領事)
      戎  義俊氏

クラブ行事
5月23日(金)「いいむし会」
      18:30~ 松葉
6月2日(月)「むつごろう会」
      18:30~「菊本」
6月12日(木)「スマイル委員会」
      18:30~ 場所 戯(たわむれ)
6月20日(金)「祝賀懇親会」
      18:30~ 料亭「新茶家」
7月11日(金)「千葉康博幹事慰労会」
      18:30~ 菊本

市域・地区行事
5月24日(土)「宇城R.C.創立10周年記念式典」
      例  会 14:30~14:50
      記念式典 14:50~15:50
      記念講演 16:00~17:00
      祝賀会 17:20~19:00
      松橋ホワイトパレス
5月24日(土)「地区次期広報・IT研修会」
      13:30~16:30
      コンパルホール3F300会議室
6月8日(日)「2014-15年度国際ロータリー第2720地区会員増強セミナー」
      13:30~16:30予定
      グランメッセ熊本2F「大会議室」
6月14日(土)「日田R.C.創立50周年記念式典」
      記念式典 14:00~17:30
      日田市民会館「パトリア日田」やまびこホール
      祝賀会 18:30~20:30
      三隈川遊船
6月15日(日)「日出R.C.創立30周年記念式典」
      記念式典 13:30~16:20
      祝賀会 16:30~18:30
      別府湾ロイヤルホテル
7月13日(日)「熊本東R.C.創立50周年記念式典」
      式典 16:00~18:00
      祝宴 18:00~19:30
      熊本ホテルキャッスル
      2F「キャッスルホール」

熊本火の国ローターアクトクラブ
5月例会 熊本市中央公民館(第2、4(火))
5月24日(土)・25日(日)韓国研修
6月例会
6月12日(木)20:00~
「ローターアクト委員長卓話」 パレア
終了後懇親会 場所未定
地区行事
6月28日(土)17:30~、29日(日)~16:00
「第29回地区ローターアクト研修会」
亀の井ホテル別府

鎮西高校インターアクトクラブ
地区行事

6月7日(土)10:00~15:15
「インターアクトクラブ次期会長・幹事研修会
熊本県インターアクト連絡協議会」
ユースピア熊本(熊本県青年会館)
7月26日(土)~27日(日)
「国際ロータリー第2720地区第30回(2014~2015年度)インターアクト年次大会」
宇佐市安心院文化会館


《今週の会報担当  前原 健男会員》



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